国内の決済ネットワーク
VISAやMastercardは世界規模の決済ネットワークを保有しており、クレジットカードの取引データを中継しています。
しかしながら、VISAやMastercardだけでは世界中の通信を網羅できないため、各国のローカルな決済ネットワークを活用するかたちでクレジットカードの取引が行われています。
国内で完結するクレジットカード取引に関しては、国際ブランドの決済ネットワークを介さず、国内の決済ネットワークで完結する場合もあります。
日本においてはNTTデータが運営するCAFISと、日本カードネットワークが運営するCARDNETが国内シェアのほとんどを占めています。
CAFIS
CAFISはNTTデータが運営する国内最大の決済ネットワークです。
加盟店とアクワイアラー・アクワイアラーとイシュアー間を接続して、オーソリゼーションデータを中継しています。
オーソリゼーションのやり取りは各決済ネットワークごとに決まった手順となりますが、ISO8583という国際規格に基づいて策定されたものがほとんどです。
(VISAやMastercardの手順はISO8583に基づいています。)
CAFISの手順については独自の手順となっており、ISO8583に従ったものになっていません。
また、クレジットカードのオーソリゼーションデータの中継のほか、ATMの入出金やJ-Debitの取引も取り扱っており、各金融機関との接続も担っています。
CARDNET
CARDNETは日本カードネットワークが運営する決済ネットワークです。
CAFIS同様、加盟店とアクワイアラー・アクワイアラーとイシュアー間を接続して、オーソリゼーションデータを中継しています。
日本カードネットワークはJCBの子会社です。
そのため、JCBの国際ブランドネットワークとしての機能も担っています。
CARDNETの接続手順は、VISAやMastercard同様、ISO8583に基づいた手順となっています。
VISAへの公正取引委員会の立入検査
2024年7月、VISAの日本法人が独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立入検査を受けたことがわかりました。
VISAの取引に関して、VISAの国際ブランドネットワークを介さない場合、アクワイアラー・イシュアー間の交換手数料であるインターチェンジフィーを引き上げるといって不当に取引を拘束した疑いが持たれています。
つまり、オーソリゼーション取引は国内ネットワークに流さずに、VISAのブランドネットワークに流しなさいということです。
VISAのブランドネットワークを利用した場合、利用料がかかることになります。
昨今、加盟店手数料の引き下げの圧力もあり、VISAとしては収益減確保のためにそのような圧力をかけたものと推察しています。
インターチェンジフィーの引き上げは加盟店手数料に直結します。
加盟店手数料が引き上がることになれば、政府が推進しているキャッシュレス決済比率の引き上げにも影を落とすことにもなりかねないため、動向が注視されていました。
今後のVISAを巡る動向にも注目です。
まとめ
・国内の決済ネットワークはCAFISとCARDNETが大半を占める。
・CAFISはNTTデータが運営しており、独自の手順を採用している。
・CARDNETはJCB子会社の日本カードネットワークが運営しており、国際規格に基づいた手順を採用している。